Shimano Saint SM-CD50

 Shimano純正のチェーンデバイスです。本流の82Saintから一歩遅れてひっそり発売されましたが、実際に使ってみました。バッシュガードは使用せず、購入したのは本体のみです。

Shimano Saint Chain Device SM-CD50

 重量はボルト抜きで121gです。E13のTRS+が118gなので、ローラーはありませんがトレイル用の軽量デバイスとして見れば十分な重量です。ボルトはM6x15mmのロー・ドームヘッドでT30なので、工具があるかと長すぎないか確認しておきましょう。私のフレームはISCGタブの穴が1か所貫通していない構造なので、1本削って短くする羽目になりました。

Shimano Saint Chain Device SM-CD50

 対応歯数は34-38Tで、32Tも付けてみましたがいまいち上手く作動しません。このアッパーガイドが曲者で、今はE13のLG1+を使っていますが、LG1+と違いかなり設定がシビアです。少しでもチェーンラインや角度が狂うとすぐに擦るので、地道なセッティングと薄いワッシャーが必要不可欠です。

Shimano Saint Chain Device SM-CD50

 ローワーガイドはスライド式で、シマノ曰くサイレンサー機構とやらを搭載しているとか。他のスライド式デバイスを使ったことがないので分かりませんが、LG1+と比較するとチェーンラインが真っ直ぐな時はほぼ互角、カセットのローに寄ると若干LG1+の勝ち、といったところです。思ったよりは静かですね。ちなみに、スプリングとピボットがあるのでチェーンテンションを調整する機能が付いているのでは、と思っていましたが、間違いでした。このローワーガイド自体が地面にヒットした時にある程度逃げを持たせるための物で、チェーンテンションの調整機能はありません。上方向に向かってテンションが掛かっています。もしチェーンテンションを調整するなら下向きになるはずです。

Shimano Saint Chain Device SM-CD50

 裏側全景。ガイドは強化プラスチックでハニカム構造です。ローワーは対ヒット強度を稼ぐため1cmぐらいの厚みになっています。

Zee and SM-CD50

 取り付けはこんな感じになります。アッパーガイドはかなりタイトな分、チェーンを意図的に外そうと思っても外れません。安心感はあります。テンションはLG1+と比べると緩めです。スライド式であまり押し付けると抵抗になるからでしょうか。

 

 実際にゲレンデ含め何度か走行しました。チェーンは一度も外れませんでしたが、2か月ほどで先述のE13 LG1+に移行しています。原因は2つ。

 まず1つは、チェーンオイルを注した後に乗るとローワーガイドから余剰オイルが垂れることです。些細な問題かもしれませんが、室内保管の私には致命傷です。そう多い事ではありませんが、ゲレンデ走行等ハードな環境ではチェーンオイルはしっかりした物を注しておきたいもの。ですが、同時にオイル垂れのリスクも増加してしまいます。

 もう1つはローワーガイドの摩耗です。一応摩耗に強く抵抗の少ない素材になっているようですが、それでも2か月でサイドプレートの擦れる所が目に見える程減っていました。恐らく寿命はまだまだ先ですが、ローラーに比べると短命なのは明らかです。Gamutのデバイスのようにチェーンのローラーだけに接触する構造なら良かったのですが、残念ながらCD50は一部しかそのようになっていません。じきに削れるとそうなるとは思いますが、フレッシュな期間が少ないのはあまり嬉しくありません。

 

 というわけで、結局定番中の定番であるLG1+に乗り換えてしまいました。悪いデバイスではありませんが、シマノ純正、という高い期待に応えるほどではないかな、というのが私の印象です。正直なところ安いから買っただけですが、価格差が2倍未満ならちょっと頑張ってデバイスが得意なメーカーの物を買った方が良いと思います。あまり重要視していませんでしたが、意外と経験値が必要なパーツなのでしょうね。